人間は自分たちがいる場所について、なんにも知らないまま生きているんだなあ。

しみじみと思った。

人間は自分たちがいる場所について、なんにも知らないまま生きているんだなあ。

「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 青木 薫

「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 青木 薫

「人間原理」という、ちょっと聞いた感じだと物理学とは関係なさそうな考え方が、宇宙の状態を説明するために必要になってきているらしい。

そもそも、この宇宙、つまり我々のいる場所は様々な物理定数(万有引力定数や光の速度など)のバランスで成り立っていて、そのうちの一つが少しずれていると人の住める場所にはなっていないのだそうだ。

で、それら物理定数はなぜそんな都合の良い値になっているのかという理由を説明することが物理学者には未だできていなくて、ずっと大きな課題なのだという。

で、それを説明するのは、多宇宙ビジョンと人間原理ということらしい。

要するに、色々な最新の宇宙の研究の流れから、宇宙は多数あるということが濃厚となってきた。そして、その中の一つに観測者として私たち人間が居る。だから、たまたまこんな感じの観測者がこんな感じで存在している宇宙は必然的にこんな感じにできていている。

なんだか少し、なげやりのような不思議な感覚になるけれど、Toshiの理解ではそういうことになる。

人間は人間中心に世の中ができていると考えがちだから、そういうものは科学とは対立するものとしてみなされてきた。だから、物理学者はとっさに人間原理にアレルギーを持つ。ところが、純粋な科学から出てきた多宇宙ビジョンと人間原理が合わさると、観測者の選択という話でまとまりがつく。すると、人間原理もなんら怪しい思想ではなくなる。

この本には、かなり古い物理の歴史から説明がある。その流れのまま今の最新の宇宙観まで一気につなげられていいる。各時代の内容が有機的に関連付けされて書かれているところが面白い。そのキーワードとして、あえて人間原理という一見怪しげな言葉を選んでいるところもうまい。

多宇宙ビジョンについては以前にも紹介したNewsweekの記事もわかりやすい。→以前の記事

細かいことは置いておくとしても、人間がこの世の中についてわかっている範囲と未だわかっていない範囲がよくわかった。

しかし、普段生活しているときには宇宙について何も意識せずに生きている。なんだか不思議だ。

自分が生きている世界そのものの構造を知らずに、まあ生きていけるのだけど、もうちょっと気になってもいいんじゃないだろうか。そう思った。

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2013年12月2日
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Book Review, 科学

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