あなたの人生を文庫本3冊が変える ーーー 「朝30分」を続けなさい!(古市 幸雄)、なぜ、働かないで年収1億円になれたのか?(川島 和正) & 「ゆっくり力」ですべてがうまくいく(斎藤 茂太)

「複読」のすすめ

本を読むときは、「複読」をすると良い。

広辞苑(第5版)には、「復読」は「繰り返して書物をよむこと」とあるが「複読」は見あたらない。

「複読」とは、ありそうでないから Toshi が作ってみた言葉で、「関連する複数の本を並行して読むこと。また、その相乗効果で冊数倍以上に理解が進むこと」という意味。決して「服毒」(「毒薬を飲むこと」広辞苑(第5版))ではない。

何かについて知りたいとき、どんなに優れた本でも、1冊で深く広く知るのは難しい。

どうしても1冊で網羅しようとすると辞書のような本になってしまう。いくら情報が詰まっているからと言って、辞書を最初から最後まで読むなんて無理。だから、何でもかんでも書いてある本は、辞書としてでしか役に立たない。

三島由紀夫は国語辞典を読んだらしいけど、それは小説家としての興味による訓練であって、普通の調べ物や勉強においては効率が悪い。辞書はあくまで辞書的に使うのが良い。

1冊のボリュームはどれくらいが良いか、何を取り上げ何を捨てるか、そしてそれをどのように伝えるか、それは作家や編集者の腕によるところだろう。

でも1冊では、なかなか情報が足りない。そしてそれよりも大きな問題は、視点が偏ってしまうこと。

例えば、ある本には投資するならアメリカ国債を買えと書いてある。一番安全だと。ところがある本には債券投資は一番危険な時期だと書いてある。その2冊が書店の同じ棚にある。どちらにも一理あって、正解というものが存在しないから実は矛盾はしていない。こういう場合、1冊だけ読むだけだと自分なりに考える機会が少なくて、結局理解が進まない。これが投資の話にでもなると、自身のお金が危険にさらされる。

本は著者の意見だと思えば良い。一人の意見より、数人の意見を聞いて活用する方が役に立つ。だから、数冊の本をひとまとめにして理解することにしている。

人生向上セット

というわけでまずは今回、Toshi がお勧めするのは「人生変えたい」と思っている人向けの3冊セット。しかも、リーズナブルな文庫本のみ。3冊全部で1,600円だからちょうど1冊のビジネス本程度だ。

人生向上セット

人生向上セット

左から順に紹介していきたい。

Toshi’s Review 1冊目

左端の、ごくまともなタイトルの本。

「朝30分」を続けなさい! (PHP文庫)

 古市 幸雄

サブタイトルには「人生勝利へのスピード倍増! 朝勉強のススメ The early bird catches the future.」とある。14万部売れたという本が文庫化されたもの。

まず、

10万人に一人くらいは時間・労力・少しのお金を投資することもなく、その道でうまくやっている人がいるかもしれません。

でも、

マネすることができないのです。あなたがマネすることができないから特殊解なのです。

つまり、「確実に成功する方法」は「特殊解」ではなくて「一般解」を目指すことである。「毎日コツコツ勉強を続ける」ことは、「他人がなかなか実践できないこと」。だから、「実践する価値がある」。

なるほど。

そして、

モチベーションを維持するには、あなたの大切な人のためにがんばること

であり、

15か月以上やり続ければ何かが起こる

という。

Toshi が抜粋してしまうと、当たり前のことを言っているように聞こえてしまう。是非、筆者の言葉を直接読んでほしい。微妙な差が累積して大きな力になり、人生が変わることを多面的に理解できる。

また、本を所有することの重要性にも触れられていて、とても共感した。何度も読むことにより理解でき、無意識に落としこまれて習慣になる。これは、一般に言うところの「復読」。

Toshi は以前、引っ越しの際に断捨離の意味も込めて、それまで持っていた本を大量に処分した。けれどその後、何か自分の一部分が欠落してしまったように感じた。整理整頓は大事だけれど、本というものは所有することにも大きな意味がある。何度でも、いつでも読み返せる状態にしておくことが大事。極論すると所有するだけでも良い。良い本を所有しておけば、機会が来れば自然に目を通すことになるのだから。

そして、もうひとつ心に響いた内容は、成功者が強運に見えるのは、大体の場合は運によるものだけではなく、

運は準備している人の前にしか現れない

ということ。

神様が見ているから、という意味ではない。現実的な話として、準備が出来ていないとチャンスに飛びつけず、あたかも運が悪く感じる、ということ。

はい、その通りでございます。Toshi にも今はそう思えます。

Toshi’s Review 2冊目

次は真ん中の、少々刺激的なタイトルの本。

なぜ、働かないで年収1億円になれたのか?: 仕事、恋愛、健康、旅行、買物……全ての夢をかなえた私の方法 (王様文庫) 

 川島 和正

1冊目では、何を目指して行動をするか、その対象に関しての話はメインではなかった。この2冊目では、「何を目指すか」についても述べられている。その上で、それを実現するための具体的な行動とプロセスに落とし込む方法を教えてくれる。

その中で、

自分の本当にやりたいことを見極めていく方法

について触れられる。この本では、ズバリ、夢をかなえることをターゲットとしているけれど、その夢の設定がその人にとって正しいのか、という視点から入るところが面白い。つまり、その夢をかなえなくても同じ目的を達成できる、もっと簡単な代替手段はないのか、と検証する作業の必要性を説く。

これは確かに必要なプロセスだ。

例えば会社を辞めて独立するのが夢だと思っているとする。けれど、より良い待遇でやりたい仕事ができることが望みであれば、例えば副業するという手もある。すると収入は増えるし、やりたいこともできるかもしれない。あるいは、今の会社の人間関係にだけ満足していないのであれば、部署異動と言う手もある。つまり、大事なのは夢の本質だから、それを見極めれば代替案も見つかるかもしれない。

お金持ちないなりたいという夢にしても、実際はお金持ちになって何をしたいのかが大事。夢がお金では行動の動機付けとしても弱いと筆者は言う。なぜなら、

人間は本能的にお金に価値を感じることはない

からだ。お金で買えるモノや生活を夢の対象にするべき、と。

わかる気がする。

肝心の夢をかなえる方法としては、自分と同じ夢を既にかなえている人を探し、真似をするということ。情報を集め、検証し、人に会う。その具体的な方法が示されている。

そして重要なのは、

あなたの価値観は全く当てにならないことを知っておく

こと。つまり、アレンジせずにそのまま真似しなさいと言う。なぜなら、

初心者のあなたが考えてアレンジしたところで、マイナスになることはあってもプラスになることは少ない

からである。

確かに、今できていない自分の考えを捨てる謙虚さも必要かもしれない。

Toshi’s Review 3冊目

最後は右端の穏やかな本。
「ゆっくり力」ですべてがうまくいく (集英社文庫)

 斎藤 茂太

2冊目までの、「とにかく期限を決めて、ドライに理論的に行動だ」と言っていることは確かに大事。モチベーションも高くなる。この3冊目は、また別の視点で、実践を維持するための考え方・方法のヒントを与えてくれる。

タイトルから連想されがちな、単なる心理学的に耳触りのよい「読むと心が楽になる」言葉の羅列ではない。そして精神論でもない。これは具体的な実践の書。

Toshi はこの本から多大な影響を受けた。具体的に、考え方が変わり行動が変わった。すると人間関係も改善し、仕事も良い方向に向かい、別のやりたいことも実行しはじめた。

気に入っている章のタイトルの一部を挙げよう。これだけでも伝わる部分があるのでは。

  • ゆっくり動けば、気持ちもゆったりする
  • 「ゆっくり」がいい、でも「小まめ」にやろう
  • 急を要するときは、「ゆっくり急ぐ」のがいい
  • 逃げる人は忙しい、立ち向かう人は「ゆとり」がある
  • いつも挫折するのは、すぐに結果を求めるから
  • 午前中はテキパキやって、午後はのんびりしてみよう
  • うまくあきらめてこそ、先へ進むことができる
  • 開き直ってこそ、力強く生きられる
  • 人のアドバイスは、半分は聞き流せ
  • エゴイストたれ、自分中心になれ

中でも「ゆっくり急ぐ」ということには感銘を受けた。この言葉はとても深いのだけれど、その一面だけをToshiの感覚で勝手に言いかえさせて頂くと、「体の動きはゆっくりが良い。頭は常に働かせる。するとトータルの効率は良くなる」ということになる。

これをさらに逆の言い方にすると、「頭が働かないほど速く体を動かすと効率は下がる」となる。

このように解釈して以来、ずいぶん1日の時間を有効に使えるようになった。例えば、朝電車に乗り遅れまいと走ると、その最中は何も考えられない。でも余裕を持って家を出ると、ゆっくりと考え事をしながら歩ける。すると良いアイデアが出たりする。

急いで走っている時間は短時間かもしれないが何も生まない。それに対して、ゆっくり歩いている時間は長いが時間を無駄にしていない。

つまり、急ぐことと効率は全く別物なのだ。逆と言っても過言ではない。

ゆっくり動作は時間の利用効率を向上させる。

以前は、会社の後輩に「期限を守ること」の重要性を教え、そのために「急ぐこと」指導していた。でも実は「急ぐこと」は「期限を守ること」にはつながらない。逆に効率を下げ、期限を守りにくくする。なんと矛盾する行動を押しつけていたものか。

前の2冊も言っている通り、成功するためには時間はとても重要な要素。だから、「ゆっくり力」で効率を高めることは直接的に成功までの時間を短縮することになる。

3冊を「複読」して

「「朝30分」を続けなさい!」(以下「朝30分」)は、コツコツ努力すること持続することの大切さを、これでもかと示される。モチベーションも上がる。

人生を変えたいと思うとき、実績のある方法を示してくれているのが、「なぜ、働かないで年収1億円になれたのか?」(以下「1億円」)で、これは知っていて損はない考え方。

そして、よしやるぞ、と勢い込んで始めるのは良いが、気持ちはどうしても焦りがち。そこで「ゆっくり力」が程よく効く。

「「ゆっくり力」ですべてがうまくいく」(以下「ゆっくり力」)には、他の本の内容に通じる部分が多い。「ゆっくり力」は2003年出版の3冊の中では最も古い本。様々な生活に役立つ普遍的な示唆を含んでいる。

人間は一人に言われるより、色々な人から言われた方が納得しやすい。皆が言っているならきっと本当なのだろうと思うことも、「複読」の効果。

「複読」による気づき

3冊の視点は違っても、共通点は多い。

例えば、「朝30分」の言う、

批判をされてもかまわない

という心構えは、「ゆっくり力」の、

エゴイストたれ、自分中心になれ

と通じるし、「朝30分」の言うコツコツ勉強は、「ゆっくり力」の言う、

いつも挫折するのはすぐに結果を求めるから

に繋がる。

また、「朝30分」によれば、朝が最も効率が上がり時間も作りやすい。これは「ゆっくり力」で言うところの、

午前中はテキパキやって、午後はのんびりしてみよう

と繋がる。

朝の活動は他にも色々な本で良いとされているから、これは間違いのないことだろう。

そして「1億円」で説いている、

結果が出るまで継続する

ことは、「朝30分」では、

15か月以上やり続ければ何かが起きる

と言っている。「ゆっくり力」でも、

人生は長期戦

と言っている。

但し、努力の効果の表れるまでの期間については、「朝30分」では最低15カ月と言っているのに対し、「1億円」では、

3か月間続けてみて、それでも全く変化を感じられない場合には、やり方を変えることをおすすめします

とあるから、これは人によるのだな、と。

最終的には、多数決で決めるのではなく、自分の信じるところを実行するしかない。けれど、魅力的な人生を送っている(送っていた)人の意見は参考になる。

知らずに過ごすより、知って過ごす方が楽しい。

Recommendation

万人に完璧な1冊は絶対にないけれど、「複読」すると批判の気持ちが起こりにくい。

そして視点が増えるのは快感。

お試しを。

P.S.

「ゆっくり力」の著者、斎藤 茂太氏は、あの斎藤 茂吉の長男。そして、弟は北 杜夫。すごい一家だ。

「ゆっくり力」にも記述があるが、茂太氏はもちろん「しげた」だけれど、「モタ」の愛称で親しまれていたらしい。名前までのんびり。

けれども、茂吉氏同様、精神科の医者だったらしい。すごい一族だ。

そして、北 杜夫の「楡家の人びと」のモデルになった病院が、斎藤病院だという。このことは最近知った。

あの小説は、不思議で良い。

 
photo credit: Wonderlane via photo pin cc
photo credit: notsogoodphotography via photo pin cc

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2012年8月18日
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Book Review, ライフスタイル, 自己啓発

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